十人ぐらゐの来客が一向目立たない大きな家だし、これといふ娯楽のすくない僻地のことだから、漫然たる滞在客を喜ぶのである。
牛肉や海のものが食へないぐらゐの不自由を忍べば、なまじ山間の温泉宿で隣室の絃歌や喧噪に悩むよりはましだらうと野沢は言つた。
「奇妙な微笑をたたへてゐる弥勒像のあるうちだね」と、修吉は思ひついて言つた。
十人ぐらゐの来客が一向目立たない大きな家だし、これといふ娯楽のすくない僻地のことだから、漫然たる滞在客を喜ぶのである。
牛肉や海のものが食へないぐらゐの不自由を忍べば、なまじ山間の温泉宿で隣室の絃歌や喧噪に悩むよりはましだらうと野沢は言つた。
「奇妙な微笑をたたへてゐる弥勒像のあるうちだね」と、修吉は思ひついて言つた。