谷川の水面から目測して、ざつと二三百米、四五百米の小さな山波にかこまれた変哲もない山間の部落風景にすぎないのだが、それでもひとつ、これは綺麗だと感じた場所は、かなりに深い谷へ降りて、小さな瀞をなしたしじまを見たときだつた。
それはこの村へきて、五六日目の出来事であらうか。
修吉は秋山家の例の娘の道案内で、しみつくやうな蝉しぐれを頭上に残して、白昼ながらうすぐらいこの谷底へ降りてきたのだ。
谷川の水面から目測して、ざつと二三百米、四五百米の小さな山波にかこまれた変哲もない山間の部落風景にすぎないのだが、それでもひとつ、これは綺麗だと感じた場所は、かなりに深い谷へ降りて、小さな瀞をなしたしじまを見たときだつた。
それはこの村へきて、五六日目の出来事であらうか。
修吉は秋山家の例の娘の道案内で、しみつくやうな蝉しぐれを頭上に残して、白昼ながらうすぐらいこの谷底へ降りてきたのだ。