あるとき、例の如く朝陽のさしかけた本堂へ坐りこんで太平楽をきめこんでゐると、おくれて這入つてきた者がうしろへ坐つた気配がして、やがて山寺には思ひもよらない花やかな香料の匂ひが漂つてきた。
それはかねて覚えのある葛子のものに相違ない。
修吉は憤然とし、また呆れかへらずにゐられなかつた。
あるとき、例の如く朝陽のさしかけた本堂へ坐りこんで太平楽をきめこんでゐると、おくれて這入つてきた者がうしろへ坐つた気配がして、やがて山寺には思ひもよらない花やかな香料の匂ひが漂つてきた。
それはかねて覚えのある葛子のものに相違ない。
修吉は憤然とし、また呆れかへらずにゐられなかつた。