蝉の明滅が、波のやうに、湧き起つては、また、ひく。
同じ山中の村落でも、停車場のある村までくると、よほど下界へ降りてきた感情になつてしまふものだ。
さうして、野沢と卓をかこみ、久かた振りに都会の感情に立返つて物を眺める恰好がついてしまふと、さつき別れた木暮村が、よほど違つた相貌で、修吉の心に生れ変らうとしてゐるのである。
蝉の明滅が、波のやうに、湧き起つては、また、ひく。
同じ山中の村落でも、停車場のある村までくると、よほど下界へ降りてきた感情になつてしまふものだ。
さうして、野沢と卓をかこみ、久かた振りに都会の感情に立返つて物を眺める恰好がついてしまふと、さつき別れた木暮村が、よほど違つた相貌で、修吉の心に生れ変らうとしてゐるのである。