そこで朱筆に持ちかへて、その手のひらに花の字を書きつけ、あとは余念もなく再び写経に没頭した。
明方ちかく窓外に泣き叫ぶ声が起つた。
声が言ふには、私は狸ですが、誤つて有徳の学者をなぶり、お書きなさいました文字の重さに帰る道が歩けない、文字を落して下さいませといふのであつた。
そこで朱筆に持ちかへて、その手のひらに花の字を書きつけ、あとは余念もなく再び写経に没頭した。
明方ちかく窓外に泣き叫ぶ声が起つた。
声が言ふには、私は狸ですが、誤つて有徳の学者をなぶり、お書きなさいました文字の重さに帰る道が歩けない、文字を落して下さいませといふのであつた。