更に又、山の主、沼の主といふやうな陰鬱な存在は多いけれども、西欧の妖精、木草の精といふやうな乙女の姿をとつた可憐なものが少いのだ。
木魂とか山彦と言ひ、音にまで人格を与へて美しい伝説を残してゐるのは異例で、一般に、木の精でも日本のものは「高砂」の老松の精のやうに、少女ではなく、老翁であるか老嫗が普通なのであつた。
日本の山の観念や感情には、可憐な少女と繋る点が殆んどなかつたからである。
更に又、山の主、沼の主といふやうな陰鬱な存在は多いけれども、西欧の妖精、木草の精といふやうな乙女の姿をとつた可憐なものが少いのだ。
木魂とか山彦と言ひ、音にまで人格を与へて美しい伝説を残してゐるのは異例で、一般に、木の精でも日本のものは「高砂」の老松の精のやうに、少女ではなく、老翁であるか老嫗が普通なのであつた。
日本の山の観念や感情には、可憐な少女と繋る点が殆んどなかつたからである。