一般に全快した公費患者は看護人に採用されるのが普通であるが、病院には予算があり、定員以上の看護人には給料を支払ふ能力がないから、自分などほぼ看護人と同じ仕事をしてゐながら、正式に看護人では有り得ないのである。
それゆゑ看護人ほどの自由はないが、医師や事務員の引上げた後なら、同僚即ち看護人の理解によつて、非公式ではあるけれども外出できるし、縁日をぶらついてきたこともあつた。
尚、前記のやうに、既に全快しながらしかも入院生活を続けなければならないのは、ひとり自分だけの不運ではなく、公費患者の大多数が概ねこの宿命を負ふてゐるものなのである。