自分は昨年運動会の当日が生憎雨天であることを十日も先に予言して、当日の諸準備を延すやうにと進言したにも拘らず、人々が耳を藉さなかつたがために、台所その他に大損をまねいたことがあり、又、病院内で起つた一事務員の重要な失せ物を霊感によつて発見し、その後も屡々かかる場合に能力を発揮して、人々の心服を買つてゐる。
然るところ、数日前、正確に申上げれば×月×日のことであるが、はからずも自分は重大な霊感を得て、ここに再び一代の浮沈を決する大事の秋が近づいたことの予告を受けた。
即ち×月×日の夕刻のことであつたが、自分はそのとき毎日の習慣通り封筒貼をやりながら、ふと顔をあげて鉄格子の外を眺めたのである。