封筒を貼つて一日に十銭稼いで、二銭の餅菓子で栄養を補給したり、たまには一本一銭のバットを吸つたり、さてそのうへで婆羅門の秘巻を買つたり、あげくの果には一杯十銭の泡盛も飲んで、それがみんな一日十銭の稼ぎの中から割出すのだから、又そのうへに何十枚の原稿用紙、べた/\貼つた切手の値段ときた日には、それだけでもう何百日の稼ぎに当るか分らない。
血が滲んでゐるなどといふのは、かういふ時に使はなければならないのである。
手紙の書写にしたところで、筆耕のまる一日の仕事といふのが四五十枚のものだといふのに、第一どんな几帳面な筆耕でも一字一画筆法正しい楷書で書くといふ者はない。