内密な話であるがと切出して自分だけ二百円余計稼いでゐるあたり充分呼吸をのみこんでゐて駈引は相当達者なものであるが、それにしても女を口説く資本だけで沢山だといふ心掛はこれまた至極さつぱりしてゐて見上げたものだし、二百円の金を握つて六年前の新宿さして駈けつけようといふ心根もほろりとするほど味がある。
同じ目印をつけるにしても、カーネーションの花をさすとか、左の手に大根を握つてゐるとか、さういふことは言はないで樫の葉といふのが渋い。
先づ試みに明日の予想でもさせてみて、充分予言の実力を験したうへで大きな勝負にかかるから、こつちの方は悪くいつても二日か三日の閑をつぶしただけの損で、なに、それだつて、くだらぬ寄席で欠伸するよりましなぐらゐのものである。