これが美女の顔であつたら、まさしく古今の名画に残る笑ひのひとつで、憂愁に神秘を重ね、なにかほの/″\とした人の世の悲哀の相を漂はした笑ひなのである。
愈勝手の分らないことばかりである。
第一この御人の顔付はげつそり痩せ細つてゐて、なるほど栄養の補給が余程足りないことなども、充分納得できるけれども、ひとつには高邁深遠な精神が無駄な肉をそぎとつたやうな痩せ方で、何かかう西洋のお偉い人の、エマヌエル・カントとかエドガア・アラン・ポオとかいふ、さういつた哲人詩人の味のある華車で聡明で刃物のやうな顔付である。