「なるほど」
「このたびあなたの鴻大無辺な善意によつて御援助を得ることとなり、いはば廃人と申すべき身でありながら万億の富を睨んで一代の興敗を一気に決することができるといふ、下郎変じて一躍大将となりかねない稀有の機会を与へていただくことが出来まして、さて僕のひたすら祈り希ふところは、この感動と気組に最上の気合を与へ、最善の結果を得て鴻恩に報ひたいといふこと、唯これのみであります。
もとより先程から幾たびとなく申すやうではありますが、単に一応の霊感を呼びだすだけのことでしたなら、この場所で今すぐにでも結構できることですが、僕の立場と致しましては、このやうな大事の際にそれでは甚しく不本意なことでありますし、また、あなたの立場と致しましても、決して御満足ではなからうと思ふのであります」