で、この御人の視線がまつすぐ向いてる先の方へ辿つて行くと、深川オペラ劇場主人の肩の上を素通りして璧に突当る筈であつたが、そこに裸体画でもかゝつてゐてそれを睨んでゐるといふなら、もうすこし色つやの良い目の色をしてもらひたい。
この御人の目の玉ときては、大きくまる/\とむかれてゐるのに、どろんと濁つて、第一ちつとも動かない。
動物園へ遊びに行くと、昼間の梟と木菟がかういふ具合にヂッと止つてゐるものだが、あれだつて見た恰好は決して気持のいいものでないが、昼間は物が見えないのだと分つてゐるし、金網の中にゐるものだから、オヤ愛嬌のある先生だなどと大きなことを言ひながら眺めてゐる。