坂口安吾 『波子』 娘なら――伝蔵は、ふと、思ふことがあるのであつた。 娘には、年老いた瘋癲人の、この悲しさが、分つてくれるかも知れない。 虚空に向つて、鯨の息吹のやうな、ボオ、ボオ、といふ涯のない長愁を吹きあげてゐるにすぎない暗さであつた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア