祇園乙の検番の杉本老人は色話にだけ割込んできて、あとは端唄を唸つてゐる。
脳病のインチキ薬を売つてゐる二人組の一方は印絆纏、一方は羽織袴で、戸の開く音に必ずギクリとするのであるが、喧嘩の相手か刑事を怖れてゐるのであらう。
これも稲荷山を商売に四柱推命といふ占をやる男は、常連の誰彼の差別もなく卦を立てゝみては、あれも悪い、これも悪いで、とても気の毒で正直に教へてあげられん、と言ふのだが、成程多分さうだらうと僕も思はずにゐられなかつた。
祇園乙の検番の杉本老人は色話にだけ割込んできて、あとは端唄を唸つてゐる。
脳病のインチキ薬を売つてゐる二人組の一方は印絆纏、一方は羽織袴で、戸の開く音に必ずギクリとするのであるが、喧嘩の相手か刑事を怖れてゐるのであらう。
これも稲荷山を商売に四柱推命といふ占をやる男は、常連の誰彼の差別もなく卦を立てゝみては、あれも悪い、これも悪いで、とても気の毒で正直に教へてあげられん、と言ふのだが、成程多分さうだらうと僕も思はずにゐられなかつた。