これも稲荷山を商売に四柱推命といふ占をやる男は、常連の誰彼の差別もなく卦を立てゝみては、あれも悪い、これも悪いで、とても気の毒で正直に教へてあげられん、と言ふのだが、成程多分さうだらうと僕も思はずにゐられなかつた。
この占者は茶色の髭を生やして、まだ三十だといふのに五十五六の顔をしてゐた。
やつぱり参詣の人を相手に茶店の二階を借りて可視線燈といふ治療をやつてゐる老人は、人殺しの眼付をしてゐるし、水兵あがりの按摩がゐて、片目は見えるのであるが、この男の猥談には杉本老人も顔をそむけてしまふのだつた。