その翌日の夕方、親達が弁当の配達にでた隙に、自分の着物一包みを持つて、娘は本格的に姿をくらましたのである。
娘が始めて家出したとき、親父が上つてきて、先生、済んまへんこつちやけれどもどないか探す手掛りおまへんかと言ふ。
僕はそのとき病気であつたし、病気でなくとも不良少女の行方など探す気持にはなれなかつたので、この食堂の二階座敷が碁会所になつてをり、そこへ来る常連に特高の刑事で俳句をつくるおとなしい人がゐたから、その人に頼んだらよからうと言つた。
その翌日の夕方、親達が弁当の配達にでた隙に、自分の着物一包みを持つて、娘は本格的に姿をくらましたのである。
娘が始めて家出したとき、親父が上つてきて、先生、済んまへんこつちやけれどもどないか探す手掛りおまへんかと言ふ。
僕はそのとき病気であつたし、病気でなくとも不良少女の行方など探す気持にはなれなかつたので、この食堂の二階座敷が碁会所になつてをり、そこへ来る常連に特高の刑事で俳句をつくるおとなしい人がゐたから、その人に頼んだらよからうと言つた。