この食堂の親爺夫婦が正真正銘の夫婦であるといふことを信じる迄には相当の時間が必要であつた。
親爺は六十三だけれども、七十三、いやもつと老けて見える。
五尺に足らない小男で、前歯が落ち、脱け残つた歯が牙のやうに大きく飛びだし、顔中黒々と太い皺で、その中にトラホームの目と鼻がある。
この食堂の親爺夫婦が正真正銘の夫婦であるといふことを信じる迄には相当の時間が必要であつた。
親爺は六十三だけれども、七十三、いやもつと老けて見える。
五尺に足らない小男で、前歯が落ち、脱け残つた歯が牙のやうに大きく飛びだし、顔中黒々と太い皺で、その中にトラホームの目と鼻がある。