五尺に足らない小男で、前歯が落ち、脱け残つた歯が牙のやうに大きく飛びだし、顔中黒々と太い皺で、その中にトラホームの目と鼻がある。
年中帯をだらしなく巻き、袖で洟をこすりながら、弁当の配達に歩いてゐる。
街を歩いてゐる時は左程でもないが、自宅へ辿りつくとグッタリ疲れてしまふらしく、食堂の内部ではウヽウヽウヽと唸りで調子をとりながらうろつき廻り、新聞だの煙草だの部屋の中の離れた場所にあるものを取りに出掛けて行く時には、坐つた場所から這ひはじめて、又這ひ戻つてくるのである。
五尺に足らない小男で、前歯が落ち、脱け残つた歯が牙のやうに大きく飛びだし、顔中黒々と太い皺で、その中にトラホームの目と鼻がある。
年中帯をだらしなく巻き、袖で洟をこすりながら、弁当の配達に歩いてゐる。
街を歩いてゐる時は左程でもないが、自宅へ辿りつくとグッタリ疲れてしまふらしく、食堂の内部ではウヽウヽウヽと唸りで調子をとりながらうろつき廻り、新聞だの煙草だの部屋の中の離れた場所にあるものを取りに出掛けて行く時には、坐つた場所から這ひはじめて、又這ひ戻つてくるのである。