「イノチガケ」を書いて小林秀雄の所へ持つて行つたら、彼は読みかけの「源氏物語」を閉ぢて「君、歴史小説を書くのは面白いかい?
ときいた。
僕はまさにその当日までそんなことを考へたためしがないし、面白からうと面白かるまいとどうでもいゝ話のやうな気がしたし「とにかく、気が楽だね」と気のない返事をした。
「イノチガケ」を書いて小林秀雄の所へ持つて行つたら、彼は読みかけの「源氏物語」を閉ぢて「君、歴史小説を書くのは面白いかい?
ときいた。
僕はまさにその当日までそんなことを考へたためしがないし、面白からうと面白かるまいとどうでもいゝ話のやうな気がしたし「とにかく、気が楽だね」と気のない返事をした。