自分の職域に関する気焔は一切あげない。
さうして、酔つ払ふと、まづ腕をまくりあげ、近衛をよんでこい、とか、総理大臣は何をしとる、とか、俺を総理大臣にしてみろ、とか、大概言ふことが極つてゐる、忽ち三人ぐらゐ総理大臣が出来上つて、各々当るべからざる気焔をあげ、政策が衝突して立廻りに及んだり、和睦して協力内閣が出来上つたり、とにかくトンパチ屋といふものは議会の食堂みたいなものだ。
浅間山中の奈良原といふ鉱泉に一夏暮らして毎日村の(といつても十五軒しか家がない)人達とコップ酒を飲んでゐた時にも、やつぱりかういふ気焔をあげる人達であつた。