このとき脂をしぼられて、もう酒を売らないなどゝ威されたので、それ以来相当おとなしくなつたけれども、総理大臣になつて機嫌よく気焔あげてゐるので、この時とばかり俺のうちの糞便を汲んでくれ等と頼もうものなら、忽ちつむじを曲げて、いづれ四五日のうちに、等と拗ねて手に負へなくなる。
僕も糞便の始末に困つてお世辞を使つたこともあつたが、こんな可愛気のない奴もないので、二度と頼まなかつた。
然し、つく/″\見てゐるうちに、百姓がみんな総理大臣の気焔をあげるわけではない、概して、怠け者の百姓に限つて総理大臣の気焔をあげがちだ、といふことが分つてくると、僕も内心甚だしく穏かでなかつた。