彼等が総理大臣の気焔をやめて俺のうちの茄子は日本一だとか、俺の糞便の汲みとり方は天下一品だ、とか、かういふ気焔をあげたなら、居堪れなかつた筈である。
僕は酔つ払つて良く気焔をあげる男だけれども、多分、僕の一生のうちに、取手のトンパチ屋で飲んだ時期が最もおとなしい時期となるに相違ない。
宿屋のヲバサンは僕のことを聖人だなどゝ言ひ、トンカツ屋のオカミサンは僕が毎晩酒を飲むのだといふことをきいても決して信用しない始末であり、青年団の模範青年は、ある日僕が金に困つてどうしても質屋へ行く必要があり、その案内を頼んだところ、蟇口をもつて追つかけて来て、無理矢理二十円押しつけて行く始末であつた。