戦国時代のあの暗澹たる戦乱の一番をしまひに至つて桃山文化といふ絢爛たる開花があつたり、朝鮮へ遠征軍を送るやうな奇妙な底力があつたり、だから僕は百年戦争といふことに就て、日本人のそれに耐へうる精神力といふことに就ては割合に楽観した考へを持つてゐるのである。
然し、あの長い戦乱の最後に至つて尚朝鮮へ大遠征軍を送り得たといふことは、あの時代に桃山文化といふ絢爛たるものがあつて、表裏一体の自信と余裕の世界をつくつてゐたからではないかと思ふ。
僕は我々の百年戦争に当つて、何分文芸のこと以外には人並の抱負を持たないのだから、文学のことを語らない文学者の講演会などといふものに参加することはできないが、出来るならば、新らしい桃山文化の絢爛たる開花の方に一作ぐらゐは筆の跡を残したいといふことを考へてゐる次第。