肺病患者の一家であつた。
だから僕は雨戸のない庵だと思つて、硝子窓を明け放したまゝ、東京へ遊びに行つて、一週間ぐらゐ留守にするのは毎度のことであつたが、盗まれる物がないから、泥棒の心配などしたことはなかつたのだ。
ところが或る日隣家が引越すことになつて、荷物を大八車につみ、庵の掃除をしたあげく、最後に窓から手を出して何物か探す風をしてゐるので、変な奴だと思つて見てゐると、どこからか雨戸をガタ/\引つぱりだして、みんな窓を封じてしまつた。
肺病患者の一家であつた。
だから僕は雨戸のない庵だと思つて、硝子窓を明け放したまゝ、東京へ遊びに行つて、一週間ぐらゐ留守にするのは毎度のことであつたが、盗まれる物がないから、泥棒の心配などしたことはなかつたのだ。
ところが或る日隣家が引越すことになつて、荷物を大八車につみ、庵の掃除をしたあげく、最後に窓から手を出して何物か探す風をしてゐるので、変な奴だと思つて見てゐると、どこからか雨戸をガタ/\引つぱりだして、みんな窓を封じてしまつた。