友達に介錯たのむ、といふので、よろしくなにがしの芝居があつて金さん結局切腹して芝居は終りとなるのであるが、戦場まで恋人を探しにくるといふ鉄火の常盤津のお師匠さんのくせに、金さんの切腹を押しとめ、傷は浅いよ、シッカリおしよ、とか、一緒に生き延びよう、とか、およそこの意味のことを一言も喋らぬのである。
お師匠さんが何度となく繰返すセリフはたゞ一つ、ナサケないことになつたネエ、かう呟くばかり。
イザ金さんが切腹となつて腹をおしひろげても、ナサケないことになつたネエ、金さんの首がポロリと落ちて、ナムアミダブツ/\。