信長は腑に落ちぬことはトコトンまで究める性分であつた。
オルガンチノは地球儀をとりあげ、伊太利を指して、之は自分の生れた故国であるが、はらからを棄て、万里の海を越えて知るべもない絶東の異域へ来るからには、元より生命はすてゝゐる。
殿下も御存知のやうに、日々斎戒窮苦の生活に従ひ童貞をまもり、ひたすら人々の幸福のために身命をすりへらしてゐるといふのも、現身の幸を望まず、一命を天主にさゝげ、死後の幸福を信じるからで、神の存在を信じなくてこのやうなことが出来る筈がありませうや、と見得を切つた。
信長は腑に落ちぬことはトコトンまで究める性分であつた。
オルガンチノは地球儀をとりあげ、伊太利を指して、之は自分の生れた故国であるが、はらからを棄て、万里の海を越えて知るべもない絶東の異域へ来るからには、元より生命はすてゝゐる。
殿下も御存知のやうに、日々斎戒窮苦の生活に従ひ童貞をまもり、ひたすら人々の幸福のために身命をすりへらしてゐるといふのも、現身の幸を望まず、一命を天主にさゝげ、死後の幸福を信じるからで、神の存在を信じなくてこのやうなことが出来る筈がありませうや、と見得を切つた。