この石ブロの多くは人家を遠く離れた無人の地にあり、五月から十月までというようなシーズンがあって、そのシーズンに近在から人が集り、近所のバラックに寝泊りして石ブロへ通うのだそうだが、よほど古い時代の風俗を感じるのは私の気のせいかしらん。
奈良の般若坂に北山十八間という国宝建造物があり、癩者救済用の病院だった由、目下は戦災者の宿のない人たちがいつの間にやらこの千年前の癩病院へ何十世帯も住みついて動かなくなっているそうであるが、ここにも、病人のために造ったものらしい蒸風呂の跡を見ることができるそうである。
田舎の湯治場の風俗は、又、石ブロとほぼ相似た風俗で、一家族で一部屋をかり、自炊して湯治する。