しかし、当局の威信のためにも、読者諸君のためにも、ちょっと申上げておかねばならぬことがある。
それは彼が現代の人間ではないということだ。
当今のようにニセ札追求の組織と技術の進んだアメリカの当局の前には、さすがの“能筆ジム”も、その最初の一枚で御用となり、従って安吾先生のお目にもとまらなかったであろうし、また彼のニセ札が蒐集家によって額面よりはるかに高く評価されるという珍現象も起りえなかったであろう。
しかし、当局の威信のためにも、読者諸君のためにも、ちょっと申上げておかねばならぬことがある。
それは彼が現代の人間ではないということだ。
当今のようにニセ札追求の組織と技術の進んだアメリカの当局の前には、さすがの“能筆ジム”も、その最初の一枚で御用となり、従って安吾先生のお目にもとまらなかったであろうし、また彼のニセ札が蒐集家によって額面よりはるかに高く評価されるという珍現象も起りえなかったであろう。