四千五百メートルぐらいの高度で大阪まで往復したのだが、戦前までの航空旅行の概念とはよほど違っている。
煖房は完備しているし、どういう仕掛だか空気は常に室内に充満しているし、雲海の上へでるとアスファルトの路上を高級自動車で走るよりも動揺がないし、プロペラの音に妨げられずに会話ができるし、両耳へ無電かなんかの管をはめこんだ飛行士はタバコを吸いチューインガムをかみ談笑しながらノンビリ運転しているし、人間の深刻な動作や表情を全く必要としない機械や計器が完備しているらしい。
障害物がないだけ自動車よりも面倒がいらないという感じで、不安というものは感じられない。