例の支倉出発の月の浦、荻の浜、大原、白浜と南下して、ついに南端の町、鮎川に至るまで、ちょうど伊豆半島を南下すると同じように、行くにしたがって明るく、ユーカリ、楠、蘇鉄、浜木綿、ビンロー樹などの南国的な植物地帯へ次第に踏みこんで行きつつあるような気持にさせられる。
むろん南国的な植物はこの半島にはないけれども、南へ南へと南下しつつある明るさは同じものだし、北は北なりに、北の浜木綿や北のビンロー樹があるような気がするのであった。
牡鹿半島というところは名の通り野性の鹿が今もすむところだが、山は高いところでも四百五十メートルぐらいの変テツもない山林つづき。