はじめて実在の人間と遺物があって、それを証明するに足る記録があるのだから。
それにしても、王仁が論語をもたらし文字を伝えたというのが伝説であるにしても、また、ヒノクマその他に土着した夥しい帰化人たちが大和地方民の生活中に文字をもたらしたであろうことが臆測にとどまるにしても、仏教の渡来以後は急速に文字が普及したことは確実だ。
とりわけ聖徳太子が現れるや、隋へ大使や学問僧を送って文物をとりよせ、憲法をつくり、十二階を定め、七大寺をたて、仏典を講じ、今日と同じように文字とともに生活する文化生活が起ったのである。