十何年か前にドイツのファンク博士というカメラマン兼映画カントクが来朝して、日本側では早川雪洲、原節子主演の「新しき土」とやらいう日独テイケイ映画をつくった。
そのとき浅間山のバクハツ瞬間を撮そうというのでカメラをすえつけ、何人かの日本人の映写技師が何ヶ月もバクハツを待ってカメラにすがりついていたそうで、バクハツの瞬間にスイッチのボタン一ツ押すために大の男が何ヶ月もポカンと暮しているとは有為の男子に対する大侮辱デアル、と大そう怒っていましたね。
なるほど定九郎のイノシシや仁木弾正のネズミよりもダラシがないような職業的劣等感にハンモンしたかも知れんな。