とにかく名題の大ホテルにメニューがなくて、お客の注文をきいてから買だしにでかけて注文とちがった妙な牛乳料理を静々と運んできても、それが一向に苦にならず却ってなんとなく親しめるような「旅」というものを大島に於てやや味うことができるね。
そして、村のアンコたちと外輪山で噴火でも見物しておれば、否、ホテルのバルコンでボンヤリ見ていてもいいが、メリメがヴィナスの石像に殺される男の幻想を得たような旅愁を、実はすべての旅行者が感じる理由があるのかも知れん。
日本にも、それぐらいの島があるということにしておこうよ。