交通路の要所に関所をかまえて目玉を光らせるという方法は大昔からのことであるが、義経がどっちへ逃げたか、豊臣の残党がどうしたか、と云っても、その取締りは案外に無邪気なもので、草の根を分けてもという全国一丸の警察網を張りめぐらし、長年月にわたって徹底的に断圧、根絶を期したというのは現代に於ては昭和初頭に於ける共産党、過去に於ては切支丹宗門があるのみであろう。
切支丹の断圧は秀吉に始まったが、家康の晩年に於て強化された。
彼が自分の手で辛うじて完成した徳川幕府というものを守るために、他の一切に対して示した猜疑、警戒というものは蟻の出入口もないほどの堅固なもの。