花月という料理屋へ行ったら、こっちの方は十五年前まで女郎屋だったそうですよ。
女郎屋といっても特別格の女郎屋で、その建物は築地あたりの第一級の料亭よりも貫禄がありそうだが、この春雨の間で端唄「春雨」が作られたとか、頼山陽の食客の間だとか曰くインネン多々あっても一向に面白くもないものばかりだが、一番面白かったのは、私が酒をのんでいた春雨の間の隣室は支那風の部屋で、ここはオイランのセッカン用の部屋の由、昔は牢屋のような格子がはまっていたものらしく名所旧跡的な曰くインネンよりも、怪談怨霊的曰くインネンの方がはるかに多種多様に部屋々々に伝わっていたものらしいようであった。
どうしても楼主の命にしたがわず、身をうらずに、セッカンされて悶死したような娘がここには相当多かったものらしいね。