戦争中なら国民に耐乏生活をもとめることも仕方がないが、平和な時代にも耐乏生活を正しいものと考え、生活をたのしんだり娯楽に金を使うのをムダ使いであり悪いことだと考えるような政治家は完璧に政治家の第一番目の落第生にきまったものだが、明治に政党の起って以来、保守党も進歩党も耐乏生活を要求したり謳歌したりするばかりで、国民の生活水準を高めることなど、念頭にとどめたことがなかったのである。
戦争に負けた今日に至って、アメリカ的な政治常識を猿マネして、国民の生活水準を高めるという政策をにわかにどの政党も一筆書きこみはじめたが、本心からそれを考え、その理想のための個人や党の総力をつくすことを真剣に考えている政治家や政党があるだろうか。
国民全体の暮しを楽しく良くするために、また全体の幸福のために、ということには、自分をも国民全体の一人として見つめているシッカリした思想の足場がいるものだ。