汽車が横手市を通る時には、窓から吹きこむ風すらも、むさぼるばかりに、なつかしかった。
風の中に私がとけてしまッてもフシギではなかったのです。
秋田市が焼跡のバラック都市よりも暗く侘しく汚くても、この町が私にとってはカケガエのない何かであったことも、どう言い訳もなかったのです。
汽車が横手市を通る時には、窓から吹きこむ風すらも、むさぼるばかりに、なつかしかった。
風の中に私がとけてしまッてもフシギではなかったのです。
秋田市が焼跡のバラック都市よりも暗く侘しく汚くても、この町が私にとってはカケガエのない何かであったことも、どう言い訳もなかったのです。