他にもそのような音表文字を使用しているところは多いだろうが、支那がそうでないことだけは確かであろう。
アイウエオを日本に伝えた中間人種の発音に不具的なところがあった場合に、こういうマチガイが起るのは当然だが、遠隔な地から移動してついに日本の地にまで定着した者が多かったらしいフヨ族のコマ人などは、いかにもアイウエオを運搬した中間人種に見立て易いし、ササラ獅子舞いの楽譜に「マミムメモ」系の唇音に限って清濁撥音とも使用せられず、また濁撥音の使用量が全体的に甚だ少いというのは、たまたまこの楽譜に限った暗合かも知れないけれども、それにしても甚しく滑稽なような、ノンビリしたような奇怪でバカバカしい暗合ではある。
こんな言葉を実用していた人たちがアイウエオを運搬したとすれば唇音の濁撥音記号を他の音につけまちがえたのはちッともフシギなことではない。