こんな非難は私は馬鹿らしくて相手にできませんし、会社も労組も私と言う人間を知っているので、時がこんな下らんうわさは解決するだろうと、無視して呑気に構えていたのですが、田舎の人のしつこさは予想外でしてね、私を落し入れる好機をねらっていたのです、そして電産のレッド・パージの時にはこの時こそと策動したのですが、勿論これも駄目、そして私の多血症をねらってか、或る日、“明日県道修理の義務人夫に出ろ、出られなければ皆にお茶菓子代を買え”と言って来たのです。
この様なことは私がこの土地に来るまでは毎月一回位あったのですが、私が青年団をバックとして、運動し昨年より廃止していましたので、村の大ボスと大口論になり、相手よりケられたのでカッとなり二つなぐり返した処が鼻血が出、そのことを種に待ってましたとばかり告訴され傷害罪として罰金千円取られたという訳です。
駐在巡査が酔っぱらって盆踊りの中にピストル片手にゆかた掛けで暴れ込み、誰彼かまわずなぐり付けたり、中学校の教官が村の有力者の子供を除き全部なぐったり、私に鼻血を出されたボスが、ある矢張り義務人夫を使う工事で働きが悪いと一人の老人を腰の抜ける程の暴行を加えても平気な村民達が、私の場合だけ問題にしたのは私が他処者、その他何かあるかも知れませんが、坂口氏の、“天皇はお人好かも知れないが、聡明な人間ではない”との言を受売りしたのが最大の原因です。