それは林さんの死因をさぐるに先立って、「よく云われる『ジャーナリズムの酷使』が林さんの死を決定的に意味づける結果となった」と一応言いきったことで、その後の方を読み進むと、実はジャーナリズムの強要というものもそれをよくよく見るとドンラン飽くなきという放恣なものよりも大新聞以外の出版業者の資本が小さくて冒険的な試みができず、当り外れのない企画をたてて流行作家を追いまわす以外に商法がないという必然の結果を生じてそれが林さんの死の一因となったものであるという。
結局平林さんはジャーナリズムの酷使ということに彼女の特別な見解を与え、解釈をほどこしている次第ですが、その限りの言い廻しとしては、論理もよく行きとどいてもいるし、分り易くもあるし、言葉穏やかでもあって、決してガムシャラに「どんらん飽くなきジャーナリズムの酷使」が林さんを殺した、と有無を云わさず、きめつけているワケではないのです。
けれども論理的に行き届いた解説をするに先立って、いきなり「ジャーナリズムの酷使が林さんの死を決定的に意味づける結果となった」とあるから、一応そう云いきったように見え、そのあとにテイネイな解説や補足があって、決してそうガムシャラに言いきったわけではないということが、そこまででは分らない。