殺人事件の犯人をその逮捕前に論証して発表するということは、私のようなガラッ八でもよほどの確信と決意がなければできることではありません。
警官や裁判官のように一人の罪を公に断ずるものではないとはいえ、ある息子を両親殺しの犯人と断じて発表してマチガイであった場合には、筆を折る覚悟はいりましょう。
可能なあらゆる細部にわたって考察を重ねた上で、彼の容疑をくつがえしうるものがありえない、他の何者も犯人ではありえない、という確信が他のいかなる証拠によっても疑われる余地なく納得できなければ、とてもやれるものではありませんね。