そこまでの供述の真偽が決定すれば、すでにそのときからタタミの上の足跡の有無が中心的な問題となった筈で、土間へふみこんで被害者の屍体を発見しておどろいてすぐ逃げた、という供述の真偽が、犯人か否かを決するものとして調査のヤマとなるべき筈であったろう。
しかるに、最高裁への上告に際してようやくこのことが被告の不満としてもらされているのですが、それは逮捕直後の取調べの発端に於て手落ちがあったことを示していないでしょうか。
こうして真犯人が現れた以上はすでに明白でしょうが、犯人でなかった二人が逮捕されるや直ちにやりもせぬ犯行を自供することは有りえず、一俵盗んでつめかえて被害者宅へ持参して屍体を発見して逃げたテンマツを先ず第一に述べたり言い張ったりした筈でしょう、その供述に応じて取調べの発端から真偽の調査がなければならぬ筈でしたろう。