私のような三文文士でも宴席で先生のファンですというような芸者に会うことは稀れではない。
肌身はなさずなどとゾッとするようなことを言われたことはないが、枕頭の書、誰より愛読しています、というようなことを言われることも無くはなかった。
私はヒネクレているから、そういうことから、どうなったこともないが、太宰治の心中の場合はそういうことから始まったようだし、その他、師弟が恋仲になって心中したり、古い女房と別れて同棲したり、それが更に破れたり、大変なケンカになったり、また終生円満平穏の家庭がつづいた場合もむろんある。