だから長蔵さんが人を周旋する男にも似合わず、自分の身元について一言も聞き糺さなかったのは、変と思いながらも、内々嬉しかった。
本当を云うと、当時の自分はまだ嘘をつく事をよく練習していなかったし、ごまかすと云う事は大変な悪事のように考えていたんだから、聞かれたら定めし困ったろうと思う。
そこで長蔵さんに尾いて、横町を曲って行くと、一二丁行ったか行かないうちに町並が急に疎になって、所々は田圃の片割れが細く透いて見える。
だから長蔵さんが人を周旋する男にも似合わず、自分の身元について一言も聞き糺さなかったのは、変と思いながらも、内々嬉しかった。
本当を云うと、当時の自分はまだ嘘をつく事をよく練習していなかったし、ごまかすと云う事は大変な悪事のように考えていたんだから、聞かれたら定めし困ったろうと思う。
そこで長蔵さんに尾いて、横町を曲って行くと、一二丁行ったか行かないうちに町並が急に疎になって、所々は田圃の片割れが細く透いて見える。