そういう田舎の上流階級の一般の気風にくらべれば、閑院氏の非常手段の裏側には、わが身と同じように妹の身のためを思う善意と、マゴコロが感じられるではないか。
彼の勇気は、これを異常というよりも、むしろすさまじいまでの愛情であり、善意であり、その勇気の裏には妹に対する愛のみではなく、華頂氏に対する謝罪のマゴコロがあり、そのマゴコロあるによっても、あえて妹のスキャンダルを公表せざるを得なかったような正義感、それに類する清潔さを感じうるように思う。
彼がついに窮して手記を公にした心事に対しても、私は同感せざるを得ない。