彼はそれを手品使のように指にはさんで、もと着物のあった片隅の方へ投げ返した。
彼はこのふるさとの村に開業してから二十年にもなるが、まだ他殺体を見たことがなかったので、死後時間などを推定するだけの経験も自信もなかった。
こんな山奥の村でも、自殺や事故の変死体は年々いくつか取扱ったが、他殺はこれが始めてであった。
彼はそれを手品使のように指にはさんで、もと着物のあった片隅の方へ投げ返した。
彼はこのふるさとの村に開業してから二十年にもなるが、まだ他殺体を見たことがなかったので、死後時間などを推定するだけの経験も自信もなかった。
こんな山奥の村でも、自殺や事故の変死体は年々いくつか取扱ったが、他殺はこれが始めてであった。