今年の雑誌の新年号に「雪女」の絵や話を三四見かけたが、新潟という名題の雪国に生まれた私が、雪女の話も、うわさも、きいたことがなく要するに雪女の怖さを知らないのである。
田舎の人というものは、夜間に子供が外へ出ようとすると、幽霊がでるぞ、キツネに化かされるな、なぞとさも怖しげに言いたてて面白がっているものであるが、私もおどかされた経験は大いにあるけれども、雪女がでるぞといっておどかされた記憶がない。
私の少年時代といえば、明治末期から大正の、まだランプをつけていた時代であるが、それですら、そうである。