天正年間、今から三百七十年ほど昔に、真庭念流八世又七郎という人が四代中絶していた念流を偽庵という隠士から伝授をうけた伝書や、その先代が柏原肥前守から神道流の伝授を受けた伝書など調べればまだいくらでも出てきそうな古文書が、破れほうけた古ツヅラ三ツにギッシリつめて無造作に押入れの隅に投りこんである。
なくなりもせず自然にたまったから保存してあるというだけのオーヨーな無造作加減で、それは官に仕えず、代々里に伝わったために、おのずから保存されたオーヨーな筋道を語るものでもあろう。
また、樋口家そのものが、二十四代剣を伝えるとはいうものの、立派なのは道場だけで、豪農でもなく、中農ですらもない。