こういう特別仕掛けの住宅を見せつけられた上に、なんとなく妖雲ただよう天下の形勢というものを横目でにらんでいると、イヤでも何か買いだめて次の戦争に備えを立てないとオクレをとって取り返しのつかないことになりそうな心細い思いになるのだ。
ところが、私のように、平時に於て全然貯蓄の精神の欠けている人間というものは、戦争に備えても買いだめのできないように出来ておって、私が檀君のところに泊っている折、さきの戦争では一番タバコに困って往生したから、今度戦争があったらタバコだけは泰平楽してやろうというので、カンヅメのタバコを一日に一個買いだめることにした。
ところが全然ダメだ。